2 私は大体不機嫌だし、あなたを愛せるかどうかはわからない。でも、わたしは決してあなたを踏みにじらない

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人見知りで誰かと暮らすには不向きな性格の少女小説家と、この小説家の姉の娘が、一緒に暮らすことを通して、

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人生が変わる話。

エポックとは(グーグル)

それまでの時代とは違った意義・特色を持つ時代。新時代。

最近ヤマシタトモコの漫画から離れていたけれど、最近「ひばり」を再読して、また興味が出た。

違国日記は女同士の物語。
この漫画の面白さをあげると、
まず、生活スタイルも性格も異なる2人の物語。でもなぜ「いこく」の「い」が異ではなく、違なのか。

異なるの反対は、同じ。
違うの反対は、合う。

そう考える「違国」という造語に、面白さが見えてくる。

そして、違国日記ということは、二人の人生の変化が、少女小説家の槙生は小説を通して、15歳の少女、朝は、槙生から勧められた日記を通して、つまり、書き物を通して表現されていくのだろう!
そう想像するだけでワクワクする!

次に、この漫画、ズドンとくるセリフが多い。
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私たちは、悲しむべき時、喜ぶべき時、そんな「時」という空気に流されて生きている。
「多数派」→「普通」
この空気を吸い込めなかったとき、息苦しさを感じる。
自分はここにいるべきではないのかもしれない、消えてしまいたいと思ってしまう。

朝は両親の死を悲しめなかった。死は悲しむもの。しかも両親の死。それが多数だ。悲しむ人が多い。涙を流す人が多い。
だからこそ、違国の槙生のセリフが効いてくる。
「悲しくなる時がきたら、悲しめばいい」
槙生の言葉のおかげで、朝は呼吸ができたのだ。
同じ国の中に、違国がちゃんとある。自分の生きていける場所がある。何という救い!感動です。

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15歳という年頃を形容するとき、人は何と表現するだろう。

槙生は「柔らかい」と言った。

私は子どもと接するとき、いつもこれに怖さを感じていたんだ。


槙生は、自分によって相手が変化することを怖れている。多分、自分が生きやすい生き方をしていると思えていないからだろう。

でも、読者の私が槙生に対してこの一巻を読んだだけで信頼を置いてしまうのは、この言葉があったから。

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「私は決してあなたを踏みにじらない」


感動した。

色んな意味を含んだ言葉に感じられた。


柔らかいものを踏んだら硬くなる。

柔らかいものを意思によって形作ろうとすると、固める作業に入る。

だから、踏まない。

でも、もしかしたら意思は無くても、迂闊に踏んでしまうかもしれない。


でも、決して踏みにじらない。

そう宣言した槙生の言葉は強い。不器用でも人間の美しさを持ってる人だと思った。美しさを見つけていける冒険家だと思った。でも、不器用だから小説家なんだろうと思った。


本当2巻が楽しみだな。

槙生の元彼氏も魅力的である。なぜ二人が別れたのかも気になる!


ヤマシタトモコさんありがとう!